ただいま冷徹上司を調・教・中!
「そもそも」

平嶋課長はテーブルを指でトンと鳴らすと、ソファーから下りて床にあぐらをかいた。

小さなテーブルひとつを隔てて、同じ高さの目線で平嶋課長と見つめ合うなんて初めてで。

緊張からか、私の胸は大きく音を立て始めた。

無駄に顔がいい男はこれだから困る。

「だいたいなんで待つんだよ。求めないで連絡してくれればいいじゃないか」

「それは……プライドの問題です」

「全くわからん」

「でしょうね」

私にだってわからない。

どうしてあんなに平嶋課長からの連絡を待っていたのか。

恋愛偏差値の低さに腹が立ったけれど、それだけではなかった気もする。

今までは彼から連絡がなくても、なにかしらの理由があったのだと納得していた。

下手にこちらから連絡して忙しかったら……などと考えて遠慮していた部分が大きかったが、そんな時いつも相手は浮気していた、と。

そんな聞き分けがよく諦めも早かった私が平嶋課長の連絡をイライラしながらも待っていたなんて。

……せっかくのイケメンだから、構って欲しかったのだろうか。

「とにかく。連絡はマメにしてください。週末デートも大切です。全部の時間を私に使えとは言いません。週末の1日だけ、恋人らしいデートをしましょう」

私がそう言うと、平嶋課長は苦笑いを浮かべた。

「考えてもわからないから久瀬に教えてもらうことにしたんだよな。ちゃんと久瀬を恋人として見て勉強させてもらうよ」

「よろしくお願いします」

私を恋人として見ると言った平嶋課長の言葉に驚くほどときめいて、私はお辞儀に見せながらニヤける顔を隠した。
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