戦国恋武

まだ状況が掴めないでキョトンもしている私にずっと黙っていた恒興さんが口を開く。



「私は池田恒興。信長様に仕える者です。貴方様は尾張と美濃の国境付近に倒れていらっしゃいました。それを濃姫様が見つけ、私と2人でこの那古野城へお連れ致しました。」



美濃…ってどこ?



「美濃は濃姫様の母国にございます。濃姫様の父上様とお兄様がいらっしゃいます。」



この人、私が思ってることがわかるんだろうか。それにしても濃姫さんどうして着物?池田恒興さんはお侍さんみたいな格好だし。



「貴方様を見つけた時、変なお召し物を着ていらっしゃいましたが、汚れていたことと、こちらの都合により殿のお召し物に替えさせて頂きました。」



そういや私も着物の寝巻きのような格好である。…ちょっと待って。着替えさせたって、私男の人に裸を見られてしまったの?



「着替えさせたのも、晒を巻いたのも、濃姫様でございます。」



ホッと息をつく。濃姫さんならまだ女の人だからいっか。相変わらず、池田恒興さんは私が考えたことに次々答えてくれる。偶然なのか何なのか…



「晒を巻くほどの大きさはなかったのじゃが。」



濃姫さんが聞こえるか聞こえないかくらいにボソッと呟いたが…今のは聞かなかったことにしよう。



「私からも一つお聞き致します。貴方様は、一体何者なのですか?殿と瓜二つの娘、それも今現れるなんて何か狙いがあるとしか思えない。」



何者かと言われても…ただの一般ピープルであって、特別何もない。いや、他の人以上に何もない。



瓜二つってそんなに織田信長と私が似てるのだろうか?時代が違い過ぎて、会ったこともないのに。


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