戦国恋武
ムニーッ
!?
「…はひほははふほへふは。」
顔を歪めた池田恒興さん。
そう、濃姫さんが池田恒興さんの頬っぺを押したり引いたり…遊んでいる。今のは、なにをなさるのですか。で良いのだろうか。
「恒興がアマセを虐めるから、怖がっておるではないか。ほれアマセ、このブッサイクな恒興は怖くないであろう?わろうて良いぞ。」
わろうて良いと言われても…それに今は特別顔を人工的ゆ歪ませているが、池田恒興さんは、力のある目に鼻筋も通っていて唇も薄い、ブッサイクではなく間違いなくイケメンの部類だ。
「笑わんのう…ではこれでどうじゃ?」
濃姫さんは更に池田恒興さんの鼻を押し上げ、豚鼻を見せつけてくる。どうにか笑わせようとしているが…
フルフル
首を横に振る。
「やはり笑わぬか。アマセは目を覚ましてから、顔色が変わらぬな。さっきもむさ苦しい男共が押し寄せても怖がる様子はなかったしのう。」
濃姫さんが首を傾げる。
「…ごめんなさい。」
私は笑わないのではない。笑えないのだ。私には表情というものが欠落している。気付いた時には感情が顔に表現出来なくなっていた。それが他人を不気味がらせる要因でもある。
知らない人が周りにいっぱいいて、怖くない訳ではない。ヤ○ザの類だと思ってたくらいだし。