真夜中だけは、別の顔

 私のわけの分からない行動は、晴太の言うように、全部冷蔵庫の中から無くなったプリンのせいにした。
 伊吹自身、どうしていいか分からない。晴太にその事実を伝えるべきなのか、どうなのか。
 伊吹に無理矢理起こされた晴太は、ブツブツ文句を言いながらもお詫びといって朝食を作ってくれ、二人でその朝食を食べたあと、晴太はシャワーを浴びると言ってバスルームに消えて行った。


   *


「ふぅーう、」

 バスルームの扉の開閉音が聞こえ、腰にバスタオルを巻き付けただけの晴太がリビングを抜け、キッチンの冷蔵庫を開けた。その姿を目で追うと、視線に気づいた晴太が顔をしかめた。

「今日は、ちゃんと拭いたからな?!」
「……何も言ってないじゃん」
「言いたそうな顔してただろーがよー」
「被害妄想だよ、それ」

 よく身体を拭きもせずリビングにやってきて、リビングの床をビチャビチャにする晴太に以前注意したことがある。そういうことをちゃんと覚えてて直してくれる素直なところも好きだ。

 伊吹が晴太を見ていたのは、彼の背中を見たかったから。
 努めて冷静を装った。晴太の背中には、昨夜伊吹がつけたであろう爪痕がうっすらと残っていた。

「……」

 これでひとつはっきりした。
 あの男は、間違いなく晴太だということ。

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