浅葱色が愛した嘘





『総司、いるか?』





『はい、ここに。』





土方が向かったのは沖田の自室。


中から返事が聞こえると土方はゆっくりと襖を開けた。


部屋に居た沖田は無表情で刀の手入れをしている。


だが、その横顔は悲しげで、何も移していない。


ちっ、こいつら揃って死んだよーな顔しやがって。


同じじゃねーか。


土方は小さく舌打ちをすると、

沖田の前にどっさりと座った。



沖田は刀に目を向けたまま土方を見る気配はない。



土方はただ何も言わずにジッと沖田を見つめていた。






この二人は新撰組が出来る前からの付き合い。


土方は沖田を弟のように慕っていた。



刀一筋で生きてきた沖田にとって
桔梗は初めて想いを寄せた女。



それは土方も同じ事であった。



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