浅葱色が愛した嘘




『桔梗、愛してるよ。』







痛みはやがて快楽に変わり、
何度も体を重ね合わせた。







思いが通じ合った二人のとって、今日という日程、幸せな事はない。






本来、混じり合ってはいけない、二つの生き物がこうして一つになった。


桔梗はこの幸せがずっと続けば、それ以上は何も望まないと思った。



復讐が終わり、世が平和になれば
沖田と共に幸せに暮らしたいと、
そんなささやかな夢すらも見ていた。





そして行為が終わり、桔梗は疲れきったように寝てしまった。




しかし、その寝顔は幸せそうで、
それを眺めていた沖田の表情も優しい。





『ごめんね、桔梗……
ゆっくり休んで。』






桔梗の頭を何度も撫で、
横で眠る愛しい人を沖田はずっと眺めていた。






『総司………。』




不意に寝言で桔梗が沖田の名前を呼んだ。



それが沖田にとってどれほどの幸せだった事か。






『もう離さない。







桔梗……













_______愛してるよ。』






二人が愛を育んだ初夜。


夜空に輝く、月や星は明るく空一面に輝いていた。




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