浅葱色が愛した嘘
沖田と桔梗、二人の想いが通じ合ったあの日の夜を境に、
晴れて恋仲になった。
『総司!!』
そして変化があった事……
それは桔梗が沖田を下の名前で呼び捨てをするようになった事だ。
慣れるまでには時間がかかったが、
今では自然にこうして呼ぶ事が出来ている。
『総司ぃ~そんな俺たちの前でベタベタするなよ!!』
原田は二人を見るなりいつもこの調子。
桔梗が女だと言う事は一握りしかの幹部しか知らない。
この二人が恋仲と知っているのも、もちろん、
桔梗が女だと知っている人物たちだけだった。
そして、土方はと言うと、
『お前ら!サボってねぇで稽古しろ!
澄朔も隊務を怠んなよ!!』
まるであの日の出来事はなかったかのように、以前と変わらなかった。
それは副長としての、気遣いなのだろうと桔梗は理解しており、
沖田もそんな土方に感謝していた。