浅葱色が愛した嘘
『どうして……
どうして力を抜いた!?』
刃から桔梗の血が伝わり、沖田の手に流れる。
その血は温かく色鮮やかな赤色だった。
『殺せる訳……ない…。』
気づけば桔梗の体からは尾が消え、
牙もなくなり、
赤色だった瞳は淡い群青色へと変わっていた。
『総司……刀を引き抜いて。
このままだと、私の体はまだ動けるから……』
しかし、今これを抜けば、
桔梗の体内からは血が溢れだし確実に死んでしまう。
心を取り戻した桔梗を……
愛している本来の桔梗を……
殺すことになる。
『………桔梗…』
運命は残酷すぎる。
この二人が一体、何をしたのだろうか。
刀と共に生きてきた者の運命(さだめ)だとでも言うのか。
『お願い…総司………』
桔梗……桔梗……
俺は本当に君のことを……
沖田の目からは涙が溢れていた。
『ごめん……』
そう言いながら沖田は勢いよく桔梗の身体からその刀を引き抜いた。