浅葱色が愛した嘘





まるで時が止まったかのように、鮮やかな血飛沫は沖田の体を包んだ。





その瞬間、桔梗は力を無くしたかのようにストンッと倒れ込む。





『………桔梗!!』





沖田はそれをとっさに支えた。







傷口を抑えても抑えても、血はドクドクと流れ止まる事を知らない。



自分で傷つけておきならが…

必死に助けようとするのは矛盾の行動だ。





『桔梗…頼むから目を開けろ…

生きてくれ……』






白いく美しかったその肌は、
今では赤く傷が目立つ。





『そ…う……じ…?』




重たい瞼をうっすら開け、
今にも消えてしまいそうな声はで桔梗は沖田の名を呼んだ。



『たくさん傷つけてすまなかった。



助けてくれてありがとう。
これで私は人の心を持ったまま死ねる……


げほげほッ……』





ゴホリと吐かれた血は桔梗の喉元へと流れる。




『もういい!

それ以上喋ろるな!』




今の桔梗は話しただけでも傷口に響き、体を弱らしていった。





『総司……


私に優しさを教えてくれてありがとう。

温もりを与えてくれてありがとう。





こんな私を………














愛してくれて…ありがとう。』





総司と出会えたから、幸せに触れた。


愛に触れた優しさに触れた。



貴方が私の全てだった。



貴方が居たから生きてこられた。





『好きだ総司……愛してる…



今も…昔も…これからも…


私が生涯、
愛し続けるのはお前だけだ…』






最後の力を振り絞ったかのように、桔梗は泣きながら微笑んだ。




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