浅葱色が愛した嘘





『……母上…?』



ふと目の前には生桜の姿があった。

あまりの疲労に沖田は生桜の気配さえも感じとれない。






『母上…寝てるの?』




桔梗から受け継いだ群青色の瞳…




本当に桔梗にそっくりだった。




愛おしい、我が子___





『あぁ。桔梗は少し疲れたみたいだからね。』




沖田は力無い微笑みを生桜に向ける。




生桜は少し安心したように笑うと、

沖田の腕の中で抱かれている桔梗に寄り添った。





『母上……生桜も疲れたから一緒に眠ってもいいかな。』





そういうと生桜はそっと目を閉じる。




幼い少女でさえも
全身、血で覆われていた。



この子もまた命の限界が来たのだと沖田は悟った。




最愛の女と我が子を両手に抱きしめ、沖田は涙を流し続ける。



< 256 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop