浅葱色が愛した嘘


二人の顔がゆっくりと離れる。


透明な糸が二人を繋いでいた。


「はぁ…はぁ…」


群青色の瞳は潤んで、髪は少し乱れている。

その光景が逆に沖田をそそらせた。


ゾクゾクと全身を逆なでされたような震える感覚。

沖田の理性が保つはずもなく
着物にそっと手をかけた瞬間


廊下からこちらに向かってくる足音がかすかに聞こえた。


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