浅葱色が愛した嘘
「!?!?!?」
チクりと小さな痛みが頬を襲う。
恐る恐る手をかざしてみればそこには血が付いていた。
「……なっ!?」
斎藤は慌てて刀を抜き桔梗の喉に刃を向ける。
「貴様!やはり間者だな。
土方さんに何をする!!!」
桔梗は見えぬ速さで懐から苦無(くない)を取り出し土方に投げたのだ。
唖然とする土方。
睨みつける桔梗。
刀を突き立てたまま動かない斎藤。
部屋の中には重い空気が漂っていた。
「二度と私を長州の間者だと言うな。
次は確実に殺してやる。」
土方の本能が危険だと叫んでいた。
感じた事のない強大な殺気。
息をすることすら忘れるような___
「もういい。
返す気がないのなら自分で探す。」