浅葱色が愛した嘘



おもむろに立ち上がり振り向きざまに桔梗は白い布を投げた。



「??」


「傷つけてすまない。
それほど深くはないが使ってくれ。」


そう言って又も斎藤の刀を素手で弾くと
部屋を後にしようとした。



「おい、待て!!

ちっ、山崎!!」


土方の声に答えるように天井から黒い影が飛び出した。



山崎と呼ばれた男は
苦無を桔梗の喉元に当てニコニコと微笑む。



「お呼びかいな、土方さん♪」



あまりにも陽気な人物だ。



「ずーっと見てたんやけど
この嬢ちゃん只者ちゃうなぁ〜?」


そんな呑気な事を言ったせいか
桔梗は一瞬の不意をつき山崎からすり抜けると今度は自分の刀を山崎の喉に突き立てた。



「さっきから上に居るのは知っていたけど
斎藤って人も貴方も唐突に人に刀を向け過ぎじゃない?」



「おいおい何やこれ。堪忍してやぁ〜」


光る刃は確実に山崎の動脈をとらえている。



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