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仮面のシンデレラ《外伝》


(…?)


僕は、彼女に少し違和感を感じたが、言われた通りに先を歩いて改札を通った。


ピッ!


カードをかざすと、電子音が鳴ってゲートが開く。

すると、それを見た彼女がまるで僕の真似をするようにカードをかざした。


ピッ!


小さく「わぁ…」と呟いている彼女。

そんなに感動することがあったのだろうか。

僕は特に気が付かなかったが、彼女はどこかそわそわしながらホームに立った。


(…まぁ、楽しそうだからいいか。)


僕は彼女の隣に立って穏やかな気持ちでいた。


**


「はい、これチケット。」


「えっ!」


電車に揺られ、映画館の入っているショッピングモールに向かう車内。

僕が映画のチケットを差し出すと、彼女は目を丸くして僕を見つめた。


「買っておいてくれたの…?」


「うん。15時からのやつ。」


急いでお財布を出そうとする彼女に、僕は笑って声をかける。


「お金はいいよ。チケット無くさないように持っていてくれれば。」


「えっ?!わ、私から誘ったのに…」


「あはは。大丈夫だよ、僕も見たかったし。」


「…!いいの…?ありがとう…!」


チケットを手にした彼女が、まるで宝石を見るような瞳で手元を見ているので、僕はそれが面白くてしょうがなかった。


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