仮面のシンデレラ《外伝》
───ガチャン!
勢いよく扉が閉まった。
バサリ、と落ちる黒い傘。
後ろから抱きしめるように腕の中に閉じ込めた彼女の髪が頬に触れる。
「言わせてごめん。」
「…!」
彼女が、ぴくり、と肩を揺らした。
「…本当は、僕が言わなくちゃいけない言葉だったのに…」
強張る体。
引き寄せる腕に力がこもる。
エラの肩に顔を埋めると、彼女は小さく呼吸をした。
もう、しがらみなんてなかった。
「…好きだ。」
「!」
「…好きだよ、エラ。」
すっ、と、こちらを向かせる。
彼女は、目を丸くして僕を見上げた。
涙の滲んだ彼女の瞳は、淡い空色を宿している。
初めて交わった2人の視線。
赤く染まる頬を、そっと両手で包んだ。
頬から華奢な肩へと撫でおろし、そのまま愛おしく、宝物を扱うように彼女を抱く。
僕は、そっ、と彼女に告げた。
「…今夜は、帰さない。」