シンデレラのドレスに祈りを、願いを。
養育費の受け取りに、毎月、悠季くんと会うようになった。
待ち合わせ場所はいつもの喫茶店、平日の午前中のわずかな時間。互いの近況報告をしてお茶をする。
5年生になった悠斗が理科工作展で入選をもらったこと。
中学校の入学式に雪が降ったこと。
バレンタインデーに女の子がチョコを渡しにきたこと。
どんなことでも悠季くんは嬉しそうに聞いてくれる。
『はい早百合さん。今月分』
『ありがとう悠希くん。はい、これ』
テーブルの上に私は保冷バッグを置いた。悠季くんは相変わらず朝食抜き、昼は社員食堂、夜は白米にふりかけという不摂生ぶり。なので私はタッパーウェアにお惣菜を詰め込んで悠季くんに渡していたから。
『いつもありがとう。早百合さんの料理、おいしいし。先月のきゅうりのピクルス、いい塩加減だった』
『それなら良かった』
『早百合さん、カフェ開かない? 実は会社の近くにいい物件を見つけたんだ』