シンデレラのドレスに祈りを、願いを。
次に悠斗に悠季くんを紹介しようとしたら、悠季くんは右手を上げて悠斗に微笑んだ。


「おう、悠斗」
「こんにちは、父さん」


悠斗もそれに応えるように軽く会釈をした。

え……?
ふたりは目を合わせてにこにこと笑いあっている。

こないだはごちそうさまでした、と悠斗が言い、父さんだってハンバーガーおごる甲斐性はあるさ、と悠季くんが言う。ポテトがどうの、ドリンクがどうの、とファーストフードのメニューの話をし始めて。

まるで知り合いみたいに、ついこないだ会ったときの話をするみたいに。

私はふたりを交互に見つめた。


「ちょ、ちょっと待って? なに、その会話? ハンバーガーって?」


私がそう問うと、悠斗がはにかむ。


「母さん……ごめんね。実は前から会ってたんだ」
「2年くらい前か?」
「3年だよ。母さん、俺が父さんの話を聞いたときのこと覚えてる? あのとき、どうしても本人に会いたくなって。それでネットで検索したんだ。悠季なんて名前珍しいからすぐに見つかった。それで」
「悠斗が会社まで押し掛けてきた。カフェからすぐそこだしな?」
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