シンデレラのドレスに祈りを、願いを。

ふたりは同じ背格好で同じ顔で同じ笑みを浮かべてニタニタと笑う。知らなかったのは私だけ?


「もう、ずるい!」
「ごめんね早百合さん。でもいいだろ? こうして仲良しでやってるんだからさ。さあ、今日は鉄板焼きのレストランを予約したよ。行こう」


ホテル最上階にあるレストラン。カウンター席に3人で並ぶ。真ん中に悠斗、左に悠季くん、右に私。目の前の鉄板でコックさんが野菜や魚貝類、牛肉を焼いていく。フランベで火の手があがると悠斗は目をまん丸にした。

私と悠季くんは目を合わせて微笑み合う。だってあの旅行のときと同じ。豪華なお子さまランチを見たときと同じリアクションの悠斗を思い出した。

父親と母親と子ども。それはいくつになっても変わらない。

カウンターでの食事を終えると、窓側のテーブル席に誘導された。食後のコーヒーとデザート。悠季くんはコーヒーに角砂糖を3つも投入した。さらにクリームもたっぷりと。


「父さん、入れすぎだよ」
「ダメなんだよ苦いのは。許せねえんだよ」


悠斗と悠季くんの会話は微笑ましい。もう何年も一緒にいる父子みたいだ。


「悠季くん、ビールは飲めるじゃない」
「ビールは別物だよ? あれはおいしい苦みなんだからね」
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