シンデレラのドレスに祈りを、願いを。
ひとつの時代が終わり幕を閉じる。それは私と悠季くんの関係にピリオドを打てと言われたようだった。


「中も入ってみる?」


悠季くんは扉を開いた。中は照明は消されたままだった。通路の照明で私たちの影がぼんやりと映った。

暗い中でも目が慣れてくる。

広々とした空間、天井は高い。重厚なカーテン、絨毯、シャンデリア。
私の視界の中であの舞踏会の煌びやかな空気が蘇った。


「早百合さん、踊ろ?」
「え?」
「さあ」


差し出された手に自分の手を重ねた。
腰に手を当てられ、くいと引き寄せられる。

悠季くんの右足が押され、私の左足が下がる。次は悠季くんの右足と私の左足が、次に悠季くんの右足と私の左足……と順に動かしていく。

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