バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
彼はわかってない

だから頭を左右に降って彼の瞳をしっかり見て私も返す

「あの人に感化されているだけだよ…」

彼の私を握る手が少し強くなる

「ちゃんとおれが愛してる」

私を掴む手を離してもらうために、空いた方の手で私を掴む彼の腕をぎゅっと握る

「もう十分だから自由になって、もうあの人の記憶に囚われないで」

「おれは自由だ」

すぐに彼がいつもより少しだけ大きな声で、

まるで悲痛な叫びのように言った

こんなの初めてで驚いてしまう

掴まれた手がミシミシと音をたてて痛い、彼にこんな風に触れられたことは出会ってから一度だってない

眼鏡が歪んで割れてしまいそうだ

いつも穏やかな彼が、

吸血している時とはまた違った感情の高まり方をしていることにどこか違和感を感じる

だけど…

「もう、会わない」

だけど、彼は知らない間に蝕まれているからもう突き放すしかない
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