バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
「…嫌だ」

彼がそう吐き捨てたかと思うと、

ドンッ

と大きな音と衝撃が手で繋がる私たち二人の身体を揺らす

緩んだ手からは眼鏡が音もなく雪の上へ落ちる

突然のことで何が起こったか頭がついていかない

先程の衝撃の時にも聞こえた音が彼が引き抜く腕の動きに合わせてまたバキパキっと音がする

(やめて、やめて!!)

叫んでいるのに声にならない

ショックで身体も動かせない

本能的にそれがなんの音かは分かっているけど、それを認めたくない

足元には真っ白な雪を染め上げるほどの美しい鮮血の血溜まりができている

彼は落ち着いた様子で眼鏡を拾うと血がついた眼鏡をそのままかける

息もできずに彼の顔を見上げれば、その綺麗な顔が私の顔に近づいてくるー
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