バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー



きっと彼女は本当に俺のことを思ってくれているんだろう

どこまでも優しく賢い彼女がこのような判断になったのは納得ができる

だけど、その言葉は同時に彼女が俺から離れていくことを意味する

「あなたは、私を愛してない」

「おれは愛してる」

何処で違えたのか彼女は俺の言うことを信じない

「あの人に感化されているだけだよ」

「ちゃんと、俺が愛してる」

今まで生きてこんなに怒りとも悲しみともつかない感情になって言葉を発したことはあっただろうか

「もう十分だから自由になって」

「おれは自由だ」

自分でも止められない激情が声に乗ってしまっているのがよく分かるのに、反射的に彼女に反論する言葉が吐き出される

「もう、会わない」

「…嫌だ」

最後は吐き捨てるように言葉を発すると同時に身体が勝手に動いてしまっていた

おれは自由だから自分で彼女の側にいることを選んでいた

彼女を壊すのは簡単でそうしてしまえばおそらく彼女にのみ執着するオレの血も静かになる

だけどそんなことはせずにオレの血に付き合うようにわざわざこんな面倒なことをしながら、それでも彼女の側にいる

だから彼女から離れるなんて堪えられない、オレも我慢しきれなくなっている

ならいっそのこと心臓を取り上げてしまおうー

< 149 / 167 >

この作品をシェア

pagetop