バッドテイストーヴァンパイアの誤算ー
(非常にまずい…)

本来ならばもうとっくに女の元を離れている時期だ
しかし、今日までは何故かそばにいなければいけない気がしてここにいる

子供がいないせいか、いつもより甘えた声で女は興奮しながら俺をなで回したりキスしたり匂いを嗅ぐ

(ただの炭酸飲料だろ、酔ってるのか!?)

きっとこれが彼女本来の姿なんだろう、普段は子供を守るべき母親として無理している訳ではないが自然と少し気を張っている

しかし、今夜は雰囲気が非常にふわふわしていてベタベタ甘えてくる、隙だらけだ

女に笑顔を向けられ弾む声でこちらに話しかけられ、その指や唇が触れるたびに心がざわつく

(俺からは触れないのに簡単に踏み込んでくるな…)

特に今の時期は必要以上に触らないようにしていたのに、しつこいくらい俺を誘う匂いと行動をとるから、耐えきれず叫ぶ

(やめてくれっ!)

女は俺に謝りながら今度は本当にアルコールを一気飲みする

「!」

女がグラスを乱暴においたかと思うと、俺に持たれかかってくる

とても心臓の鼓動が早く女の体が異常な事態に陥っていることがわかる

呼吸も早く口は半開き、でもうまく酸素が取り込めないようにハッハッと息をはく

目も座り体が熱くなっている

(どうした、大丈夫か?)

俺と視線が合うと、呟くように言う

「ロキだいじょうぶだよ、心配しないで」

「よってるだけだから…」

そう言って瞳を閉じる女


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