《短編》ガラクタ。
サイドテーブルに適当に買ったお菓子を置き、ビールを飲みながらベッドへと腰を降ろせば、それのスプリングが小さく軋む。
アラタはデッキにDVDをセットしている様子で、右手にリモコン、左手に新しい缶ビールを手に、あたしの横へと腰を降ろした。
「テレビは苦手だけど、俺、寝る時にDVDとか流しっぱにしたい人なんだよ。」
珍しく、聞いてもいないのにそんなことを嬉しそうに言った彼は、再生のボタンに人差し指を乗せた。
一体何を観せられるのかと思いきや、流れ始めたのはサバンナっぽい草原の風景で、シマウマが駆ける。
「…アンタの言ってたペットって、これじゃないっしょ?」
「これは、お前のため。」
「…あたし?」
「そう。
動物は頑張って生きてんだぞ、って。」
「いや、だからあたしもそれなりに頑張って生きてんじゃんか。」
今しがたまでのどかに草原を駆けていたはずのシマウマは、いつの間にやらライオンっぽいものに追い掛けられ、そして食われる様子がDVDを通じて流れていた。
普段、こんなのを観て楽しんでいるアラタの姿を想像すると、やっぱり頭がおかしすぎてついていけないんだけど。
何が面白いのかもわからなくて、ため息を混じらせるようにあたしは、そんな映像をただ眺め続けた。
「…飽きた。」
「早ぇよ、開始10秒じゃん。」
「いや、20秒。」
口を尖らせるように缶ビールをサイドテーブルに置いた刹那、意志とは別に視界が彼の顔で埋まり、そして唇には何かが触れた感触。
キスをされたんだとは思うけど、あたしは思いっきり間抜け顔そのもので、それを離したアラタはフッと口元を緩めた。
「あれ、怒らないんだ?」
そんな言葉と共に押し倒され、僅かに軋んだスプリングと、あたしとは別の煙草の匂いが微かに鼻をついた。
別に、それ目的で来たようなものなのだから、怒ることはないんだけど、それにしても先ほどの肉食動物の食事シーンとアラタの不敵な顔がダブってしまい、
あたしもあのシマウマのようになるのかな、なんてことが頭をかすめてしまえば、再び降ってきたアラタの唇は、予想に反し、ひどく優しいものだった。
アラタはデッキにDVDをセットしている様子で、右手にリモコン、左手に新しい缶ビールを手に、あたしの横へと腰を降ろした。
「テレビは苦手だけど、俺、寝る時にDVDとか流しっぱにしたい人なんだよ。」
珍しく、聞いてもいないのにそんなことを嬉しそうに言った彼は、再生のボタンに人差し指を乗せた。
一体何を観せられるのかと思いきや、流れ始めたのはサバンナっぽい草原の風景で、シマウマが駆ける。
「…アンタの言ってたペットって、これじゃないっしょ?」
「これは、お前のため。」
「…あたし?」
「そう。
動物は頑張って生きてんだぞ、って。」
「いや、だからあたしもそれなりに頑張って生きてんじゃんか。」
今しがたまでのどかに草原を駆けていたはずのシマウマは、いつの間にやらライオンっぽいものに追い掛けられ、そして食われる様子がDVDを通じて流れていた。
普段、こんなのを観て楽しんでいるアラタの姿を想像すると、やっぱり頭がおかしすぎてついていけないんだけど。
何が面白いのかもわからなくて、ため息を混じらせるようにあたしは、そんな映像をただ眺め続けた。
「…飽きた。」
「早ぇよ、開始10秒じゃん。」
「いや、20秒。」
口を尖らせるように缶ビールをサイドテーブルに置いた刹那、意志とは別に視界が彼の顔で埋まり、そして唇には何かが触れた感触。
キスをされたんだとは思うけど、あたしは思いっきり間抜け顔そのもので、それを離したアラタはフッと口元を緩めた。
「あれ、怒らないんだ?」
そんな言葉と共に押し倒され、僅かに軋んだスプリングと、あたしとは別の煙草の匂いが微かに鼻をついた。
別に、それ目的で来たようなものなのだから、怒ることはないんだけど、それにしても先ほどの肉食動物の食事シーンとアラタの不敵な顔がダブってしまい、
あたしもあのシマウマのようになるのかな、なんてことが頭をかすめてしまえば、再び降ってきたアラタの唇は、予想に反し、ひどく優しいものだった。