《短編》ガラクタ。
コンビニでビールやお菓子などを買い、そしてやってきたマンションの3階の一室へと足を踏み入れれば、漂う空気は確かに冷たいものの、何故かあたたかみを帯びた印象を抱いてしまう。
モコモコのラグマットも、ラブソファーも白で統一されていて、焦げ茶色のダイニングテーブルが差し色になり、男の部屋にしては珍しく、身長より少しばかり低い観葉樹が窓際に置かれている。
10畳ほどで隣にはシステムキッチンがあり、さらに奥には寝室なのだろう扉まで。
見た感じ20代真ん中くらいの男の部屋にしては綺麗で、立地からしても結構良い所に住んでいて、やはりお金は持っているようだけど。
でも、何故か違和感がつき纏う。
「ねぇ、何でリビングにテレビないの?」
見渡す限り鳥の姿はどこにもなく、飼っている気配さえ皆無だったが、そこの突っ込みは敢えてせず、あたしは違和感の原因であるテレビの存在について問うてみた。
一足先にコンビニの袋から缶ビールを手に取っていたアラタは、プシュッと小気味良い音を立て、それのプルタブを開けて。
「邪魔だし、寝室に置いてるから良いんだよ。」
「…テレビ、観ない人?」
「お前、観る人?」
「いや、観ない人。」
“なら良いじゃん”と、そう言った彼は手に持つ缶を傾け、先ほども飲んだはずの金色の液体をクイッと流し込んだ。
一応お互いの名前は知っているものの、あたし達は一度としてそれを呼び合ったりすることはないし、おまけに地味に会話が成り立っていないのも相変わらずなのだが。
自らが口をつけた缶をあたしに差し出し彼は、小さく口元だけを上げた。
「こっち、おいで。」
たまにアラタは、どこかあたしを子供扱いしたような口ぶりで喋ることがある。
缶ビールを受け取って再び視線をあげてみれば、彼は促すように奥の扉を開けた。
開けて、そして電気がつけられるとやはりそこは寝室で、多分8畳程度はあるのだろう、セミダブルのベッドと大きめのテレビが置かれていた。
やっぱり鳥は居ないのだけれど、でも、缶ビール片手にあたしは、導かれるように中へと足を進めたのだ。
モコモコのラグマットも、ラブソファーも白で統一されていて、焦げ茶色のダイニングテーブルが差し色になり、男の部屋にしては珍しく、身長より少しばかり低い観葉樹が窓際に置かれている。
10畳ほどで隣にはシステムキッチンがあり、さらに奥には寝室なのだろう扉まで。
見た感じ20代真ん中くらいの男の部屋にしては綺麗で、立地からしても結構良い所に住んでいて、やはりお金は持っているようだけど。
でも、何故か違和感がつき纏う。
「ねぇ、何でリビングにテレビないの?」
見渡す限り鳥の姿はどこにもなく、飼っている気配さえ皆無だったが、そこの突っ込みは敢えてせず、あたしは違和感の原因であるテレビの存在について問うてみた。
一足先にコンビニの袋から缶ビールを手に取っていたアラタは、プシュッと小気味良い音を立て、それのプルタブを開けて。
「邪魔だし、寝室に置いてるから良いんだよ。」
「…テレビ、観ない人?」
「お前、観る人?」
「いや、観ない人。」
“なら良いじゃん”と、そう言った彼は手に持つ缶を傾け、先ほども飲んだはずの金色の液体をクイッと流し込んだ。
一応お互いの名前は知っているものの、あたし達は一度としてそれを呼び合ったりすることはないし、おまけに地味に会話が成り立っていないのも相変わらずなのだが。
自らが口をつけた缶をあたしに差し出し彼は、小さく口元だけを上げた。
「こっち、おいで。」
たまにアラタは、どこかあたしを子供扱いしたような口ぶりで喋ることがある。
缶ビールを受け取って再び視線をあげてみれば、彼は促すように奥の扉を開けた。
開けて、そして電気がつけられるとやはりそこは寝室で、多分8畳程度はあるのだろう、セミダブルのベッドと大きめのテレビが置かれていた。
やっぱり鳥は居ないのだけれど、でも、缶ビール片手にあたしは、導かれるように中へと足を進めたのだ。