《短編》ガラクタ。
まさに骨抜きってゆーか、腰が砕けるって感じ。


腕枕なんて邪魔な行為だと思ってたけど、今だけは、アラタのそれがひどく心地よく感じてしまい、あたしは動くこともないまま。



「おい、俺を第一発見者にするつもりかよ。」


「違うよ、殺人者。」


まぁ、鳳凰を背負うこの男が殺してくれるのならば、おまけに腹上死ならば最高だとしか思わないんだけど。


“そりゃあ困った”と心にもない台詞を投げ、彼は目を細めてあたしの頭を撫でた。


今日のDVDにはペンギンの親子が映っていて、本当にこういったものが好きなのだろうと思わされる。



「こういうDVD集めんの、アンタの趣味?」


「どうかな。
ただ、俺には収集癖ってのが確実にあるらしい。」


「…収集癖?」


「そう、色々集めんの。」


「…例えば?」


「缶ジュースのプルタブ集めまくって怒られたことあるし、給食に出てくる牛乳の蓋とか無駄に集める子だったんだ。」


「マジ?
それ、ただのゴミじゃん。」


「まぁ、人に言わせりゃそうなんだろうけど。
でも俺は、ガラクタでもゴミでも、欲しいと思ったら集めるよ。」


やっぱりどこか、アラタは人とは違うのだろう。


煙草を咥えた彼と同じようにそれを咥え、体を起こしてみれば、“お前もそう”と、瞳が投げられた。



「ほら、さっきのアイツら居ただろ?
あれもみんな、俺が拾ったようなもんだから。」


「……は?」


「人にはいらないものだと思われてても、俺が欲しかったから。」


言ってることが、益々意味がわからなかった。


ただ、あたしは世間で言うところの邪魔な存在なんだろうし、ガラクタと言われても別に怒ることはないけど。


落ちていたと言われればそんな感じだし、欲しかったと言われた一言に地味に高揚感に支配されるのだから、あたしも大分ぶっ飛んでいるのかもしれないが。


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