《短編》ガラクタ。
「お前もコージの飯食ってけよ。」


「…アンタ、その前に言うことないの?」


「おはよ。」


「違うよ!」


「じゃあ、服着ろよ、とか?」


「アンタが着ろよ。」


まず、布団を掛けていたとは言え、全裸の二人が抱き合って眠ってて、そしてそれを平然とした顔した見も知らぬ客人に見られたのだ。


あの男が誰なのかもわかんないし、おまけにこんな状況で普通にアイツの作ったご飯を食べろって方が無理に決まってる。



「てかあたし、スッピンだし!」


「わめくなよ、朝から。」


多分、寝起きでキレられたからだろう、そう面倒くさそうに言ったアラタは、パンツとスウェットのズボンだけを穿き、そして茫然としているあたしを残し、コージくんの背中を追った。


去っていく鳳凰の描かれた背中を見つめながらあたしは、朝っぱらから痛みを放つこめかみを押さえた。


だけども布団の中に居続けても意味はないと判断し、服を着てあたしも、リビングへと向かった。


ガチャリと扉を開けてみれば、コージくんがキッチンに立って朝食らしきものを作っていて、俺様状態のアラタは、ソファーにでかでかと腰を降ろして白灰色を漂わせる。



「何か、心配して損しちゃいましたよ。
アラタさん、彼女サンに看病してもらってたんすね。」


「羨ましいっしょ?」


そんな会話さえ聞こえ、睨むようにアラタに眉を寄せたのだが、彼は不敵に唇の端を上げるのみ。


いつの間にかあたしはコイツの彼女になってるし、言葉尻は嫌味だとしか受け取れない。


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