《短編》ガラクタ。
「コージ、飯。」


「じゃああたし、味噌汁リクエスト。」


そう、横から口を挟んでみれば、コージくんはあたし達の言葉に苦笑いを浮かべながら、“似た者同士っすね”と言っていた。


他のみんなもゲラゲラと笑っていて、一体何が面白いのかがわからないんだけど。



「気をつけろよ、コージ。
この女は我が儘だから、不味かったら殺されるぞ?」


「失礼なこと言わないでくれる?
てか、アンタ味噌汁に妬いてんの?」


「そうだ、ついでに魚も焼けよ。」


「聞けよ。
てゆーか、マジで会話にならない。」


そんなあたし達にコージくんはやっぱり肩をすくめ、“ハードル上げないでくださいよ”と笑った。


あたし達は多分、ガラクタの寄せ集めのようなもので、こんなくだらないことばかり言い合って過ごすのが性に合っている人間の集まりなのだろう。


誰も、自分で自分のことを話す以外には込み入ったことなんて聞いたりしないし、多分みんなも、あたしのことなんて名前くらいしか知らないのだろう。



「何かアラタさんとマイさんのコンビって最強ってゆーか、普通に爆笑モンっすよね!」


またサブがわけわかんないこと言って、あたしらは漫才コンビじゃねぇよ、と思ったが、睨むと彼は、委縮するように縮こまってしまう。


その隙をついたようにチャマくんが賭けトランプを一番で抜け、得意げに煙草を吹かしていた。


ちなみにモッシュくんは、そんなみんなに呆れるように、ひとり転がったビールの空き缶をゴミ袋に入れている。


他人と関わるのが面倒な部類に入るあたしが、何でここまで打ち解けたように騒いでいるのかなんてわかんないけど、でも、アラタと居ると楽しいことばかりなのが現実なのだ。


まるで、こんな世界に居場所を与えてくれる、唯一の人間のように感じてしまう。


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