《短編》ガラクタ。
結局そのまま煙草を吸って戻ってみれば、お昼時にはまだ少し早かったけど、ひとりが腹減ったとかわめきだして、そのままみんなで昼食に向かうことになった。


アラタは暇だし居ても挨拶しなきゃいけないからと、逃げるように個展会場を出るのだから、本当にただ楽しんでるだけって感じ。


あたし的には、スタッフが可哀想だと、本気で思う。


近くに小洒落た店を知っているってモッシュくんの下、みんなで通りを歩くのだけれど、やはり目立ちまくりで、未だにあたしは慣れることがない。



「てか、この集団って何だと思われてんだろうね。」


「ギャルが一番目立ってるけどな。」


「いや、アンタだよ。」


「当たり前だ。
俺はキムタクの生まれ変わりなんだから、当然だろ？」


「キムタク死んでねぇよ。」


会話なんて相変わらずひとつも成り立たないし、それ以前にあたしは、未だにアラタのことなんてほとんど知らないのが現実なんだけど。



「てか、生理前だからってそんなキレんなよ。」


「は？」


「お前、先に言っとくけどさ。
爪は凶器なんだから、それで攻撃すんなよ？」


マジで、死んだ方がマシだと思うくらいになぶってやりたくなって、今晩覚えとけって思った。


鳳凰に爪を立てて良いのも、あの絵を独占して良いのも、もちろんアラタ自身だって全部あたしのもの。


それは変わらないけど、でも、アラタに独占されてるのも悪くないって思うようになったんだから、始末が悪い。


とりあえず後ろでは相変わらずゲラゲラうるさいままだし、あたしの日常は飽きることがないのは言うまでもないだろう。


結局騒がしくも昼食を取り、あたし達はみんなで再び個展会場へと戻ってきた。


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