Perverse
真っ暗な部屋とは対照的な明るい廊下に浮かぶ黒い影。



普通なら当然驚き悲鳴のひとつでもあげるのだろうが、そのシルエットを見ただけで誰かがわかる。



「柴垣くん?」



答えない相手に電気を付けようと再び手を伸ばしかけた時。



素早く動いたその影は私の手を掴むと壁に押し付けドンッと腕で私を閉じ込めた。



「…なに…してるの?」



「アイツと同じこと」



やっと問に応えてくれただけで胸がキュンッとした。



「中西さんはこんなに近くなかった」



「近づかれる前だったんだろ?」



中西さんは手のひらを付いていたけれど、柴垣くんは前腕を付いている。



その分、二人の距離は息がかかるほど近い。



「お前、俺が来なかったらどうしてた?」



「え?」



「俺が来なかったらお前はアイツについて行ってたわけ?」



「そんなわけっ……っ」



そんなわけない。



その言葉は最後まで伝えられなかった。



唇を塞がれたと思ったら、柴垣くんの舌はすぐに私の口唇を割って入ってきた。



それは今までと比べられないほど強引で。



口内で絡み合った水音が響き渡った。
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