Perverse
そっと偲ばせた震える舌を、柴垣くんはちゅるっと音を立てて吸った。



そしてゆっくりと唇を離すと、



「ずりぃ女…」



そう一言呟いて、私をヒョイと抱え上げた。



身体が浮いた事には驚いたけれど、行先なんてもうわかってる。



柴垣くんは狭くて硬いシングルベッドに私を降ろすと覆い被さった。



「逃げてもいいよ」



柴垣くんはそう言ったけれど、大好きな人がこんなに近くにいて逃げるわけない。



「いつもみたいに冗談にしてかわしていいよ」



柴垣くんの気持ちはわからない。



けれど私の気持ちは冗談なんかじゃない。



それを伝えるかのように身動きせず、柴垣くんが降りてくるのをひたすら待つ。



「ほんっとズルイな、お前は」



「ズルイのは柴垣くんよ…」



何一つ言葉をくれないまま私を惑わすなんて。



ベッドの上で交わした初めてのキスは、今までよりも深くて濃厚で。



もう息をつくのさえも必死だ。
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