Perverse
次の日からの柴垣くんは、本当な言葉通り自然体で。
まるでこの数日間が本当に無かったかのようだった。
『リセット』という私の言葉は自分の首を締め上げ。
『同期』という柴垣くんの言葉は私を崖から突き落とした。
もう二度と柴垣くんとあんなふうに抱き合うことはない。
彼の笑顔がそう言っているようで、その笑顔を見る度に胸が軋んだ。
「仲直りしたみたいだね」
「…え?」
津田さんとの帰り道、ふとそう言われて何のことかと首を傾げた。
「柴垣とだよ。出張で喧嘩したって聞いたから心配してたんだけど、最近は笑って話してるみたいだし安心した」
「…そう…ですね」
柴垣くん、周りには喧嘩したって言ったんだ…。
仲直りなんて簡単な言葉では頷けない私の不器用さが恨めしい。
そして誘われるがままに津田さんと一緒に帰っている自分も嫌になる。
けれど以前、柴垣くんに言われたように、家まで送ってもらうようなことはしない。
津田さんは遠回りなんて気にしなくていいと言っていたけれど、私は頑なに断った。
だってあの道は、いつかまた柴垣くんと一緒に歩きたいから。