Perverse
微かに聞こえる柴垣くんの心音に、私の心は次第に落ち着きを取り戻した。



とめどなく溢れていた涙はゆっくりと引いていく。



埋めていた柴垣くんの胸からそっと顔を離すと、暗がりでもスーツの胸元を汚したのがわかる。



「あ…スーツごめんなさい…」



慌ててバッグからハンカチを取り出して拭おうとしたけれど、それを柴垣くんから止められてハンカチを奪われた。



「いいから涙拭けよ…」



手にしたハンカチでぎこちなく私の頬をトントンと拭いてくれる。



その仕草が堪らなく愛しくて。



思わずもう一度身を寄せた。



「三崎…?」



戸惑い気味の声が私を呼んだけれど返事なんてしない。



かわりに柴垣くんにしがみついた。



そうすると柴垣くんは私を抱きしめてくれるってちゃんとわかってるから。



さっきよりもきつく抱いてくれているのに安心するけれど。



柴垣くんを想う欲張りな気持ちが顔を出す。



「柴垣くんには…本音を言ってもいいのよね…?」



小さく呟くようにそう言うと、



「ずっと前からそう言ってる」



柴垣くんは低くそう応えてくれた。
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