Perverse
触れた場所から伝わるぬくもり。



とても甘くて優しくて。



全てを忘れて溺れたくなる。



角度を変えて深く求め合おうとしたけれど。



私の僅かな理性がそれを押しとどめた。



「…どうして…?」



「ん?」



「柴垣くんは…どうしてこんなことするの?」



触れられて嬉しいのに。



何も聞かずに全てに身を任せてしまえばいいのに。



伝わらない不確かな甘さより、苦くても言葉にすることを選びたい。



素直になってみて、ようやくそう思えた。



逸らさず真っ直ぐに見つめ合う柴垣くんは怪訝な表情をしている。



「俺がこんな醜態晒してんのに、何も分かんねぇの?」



「言葉にしなきゃわかんないよ。それは柴垣くんだって同じでしょ?」



言葉が足りなさ過ぎて、今まで私達は何一つ分かり合うことが出来なかったのだから。



それを終わりにしたくて、私は今ここにいる。



「竹下さんと付き合ってるんでしょう?なのに…どうして私にこんなことするの?」



私の一番聞きたかったこと。



この返事一つで私の心は砕かれるのだろう。
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