Perverse
「私はもういいです。次のターゲット見つけたので」



ハッキリと言い放つ竹下さんの意地悪そうな微笑み。



けれどそれが小悪魔と言うか魔性というか。



とても魅力的で、そりゃ女性社員にも妬まれるなと思えた。



「じゃ、私帰りますんで。続きしても構わないですけど、これからの時間は人通り多くなりますから気を付けてくださいねー」



「しませんっ」



竹下さんは私達を見て鼻で笑うと8cmはあろうかというピンヒールを鳴らして去っていった。



続きと言われても…。



「……帰ろ」



ポツリと呟くと、柴垣くんは私の手を取った。



「俺、まだ帰ってきたばっかで一緒に帰れねぇけど」



「まだ早いから大丈夫よ」



「そうじゃねぇだろ。話はこれからだっつってんの」



そう言えばそうだ。



私の気持ちだけで、まだ何も大事な事を伝えあっていない。



「速攻で終わらせてくるから、家で待っててくれるか?」



そう言うと彼はポケットの中からキーケースを取り出した。



「6階の610だから」



私の手の中にキーケースを収めると、柴垣くんは『ちゃんといろよ?』と言ってリラクゼーションルームを出ていった。



「…いきなりハードル高くない?」



キーケースを眺めながら、私は暫く飛び出しそうな心臓と格闘した…。
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