Perverse
柴垣くんから鍵を渡された時、私の家でと一言言えばよかった。



自分のテリトリーであれば、ある程度の身支度して、ご飯も準備して待ってられたのに。



ここにあるのは駅の中にある有名なクラブサンド専門店のサンドセットが2人分。



「…はぁ…」



緊張からくる溜め息は、もう何度目だろうか。



男性の家で帰りを待つなんて、経験したことないんだもの。



何だかんだで彼氏からは大事に大事にされていて、待つなんてことはなかった。



そのぶん尽くして支えて甘やかして。



これ以上結菜と一緒にいたら俺はダメになる。



失うことが怖すぎて逆に辛い。



そんなことばかり言われてきたんだ。



けれど柴垣くんを好きになって、本当の恋愛がどんなものなのかを知って。



昔言われた柴垣くんの言葉の意味を知った。



『お前は男をダメにする女だな』



今までの私は本当にそうだったから。



でも今は。



本当の自分と向き合ってくれる柴垣くんと一緒にいたい。



だからここにいるんだ。



想いを全部柴垣くんに伝えよう。



そう意を決したところで。



ピンポーン



運命のチャイムが鳴り響いた。
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