Perverse
呼吸を乱して私に向かってくる柴垣くん。



この姿を見たのは今日はもう2回目。



こういう時ってなんと声をかけるべきだろう?



やっぱり。



「…おかえりなさい…?」



しかないんじゃないだろうか?



そう言うと柴垣くんはとっても嬉しそうに笑って。



「…ただいま」



ふわりと私を包み込んだ。



会社ではパニックになって色々なことが頭をかすめて大変だった。



でも冷静になってみてわかる、柴垣くんのこの行動の意味。



私達はきっと今、同じ気持ちでいるはずだと。



「もう逃げねぇの?」



「逃げないよ」



「どうだろ。アノ時も逃げないかって聞いたけど、お前答えなかったし」



アノ時は、身体を重ねれば全部が伝わるような気がしたから。



「身体が答えだって思ったけど、次の日顔合わせた途端に、お前逃げたからな」



「あれはっ。柴垣くんは本気じゃないって思ってたし」



「はあっ!?」



バッと私を引き剥がして、柴垣くんは信じられないとばかりに目を見開いて私を見る。



「え…本気で言ってんの…?」



「え?」



本気も何も、柴垣くんから決定打を喰らわないように、無かったことにしてくれと頼んだわけだし。



「マジで信じられねぇ…」



柴垣くんはがっくりと肩を落とし、ソファーに座ると頭を抱えた。
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