Perverse
リビングに戻ると、先程のコーヒーと合わせてトーストの香ばしい香りがする。



朝食まで用意してくれたんだ……。



柴垣くんの優しさに感動していると。



「いくらなんでも香ばしすぎない?」



さすがに心配になる匂いにキッチンへと向かうと、柴垣くんがなにやら煙の出ているフライパンと格闘していた。



「なにしてんの!?」



柴垣くんの手からフライパンを取り上げて中を確認すると、これから目玉焼きになる予定だったであろう玉子と、その下に元はきっとベーコンであったであろう炭が燻っていた。



「ベーコンエッグ作ろうと思ったんだけどさ。玉子が全然目玉焼きになんねぇから強火にしたら、あっという間にベーコン焦げちまって……」



なんとも不器用な人なんだろう。



思わずくすっと笑って、「フライパンの蓋は?」と聞くと、柴垣くんは苦笑いしながら「うちにはフライパンと炊飯器しかねぇ……」と言った。



改めてキッチンを見回すと、確かに調理器具は見当たらず、菜箸すらないのか柴垣くんが持っているのは普通の箸だった。



「今度……うちにあるの持って来てもいい?」



これでは何も作って食べれないだろうと思い提案すると。



「作ってくれるなら何でも持って来て」



彼ははにかむように笑ってそう答えてくれた。
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