Perverse
周りには私と柴垣くんを見に来た、たくさんの見物客がいる。



誰がさっきの言葉を発したのかはわからない。



「私達のプライベートどころか、仕事でも関わり合ったことのない人が、どうしてそんなことを平気で言ってるの?」



「三崎。やめろ」



「柴垣くんがどれだけ真剣に仕事に向き合ってるのか知らないくせに」



今まで感情を表に出さず、誰にでも優しく接して、皆の理想として振る舞ってきた。



「柴垣くんがどれだけ努力しているのか知らないくせに」



高嶺の花と言われることが苦痛でもがいていたけれど、そうなるように振る舞ってきたのは私だ。



「なのにそんなこと言われるなんて不愉快だわ!」



私が強い口調でそう言い放つと、周りが一気に騒めきだす。



それもそのはずだろう。



こんなの、皆の思っている私のキャラじゃないだろうから。



今まで何とか頑張って確立していた『みんなの三崎』は、この瞬間に消えてなくなった。



竹下さんと対峙したあの日から、私の中で何かが大きく変わったのかもしれない。



「仕事もプライベートも、関係ない他人からとやかく言われる筋合いないから」



一度口を開いてしまったら全然止まらない。



さすがに言い過ぎだ。



ああ、誰か私の口を止めてくれないだろうか……。



そう思ったとき。



私の目の前に救世主が現れた……。
< 258 / 290 >

この作品をシェア

pagetop