Perverse
カツっと響いたヒールの音は、いつもと変わらず八センチ。



ベージュのジャケットに赤いミニスカートがよく映えていて、堂々と胸を張り腕を組んで歩く様は、まるで女王様のようだ。



迷いなくこちらに進んで私の前に立ちはだかったのは。



「竹下……さん……」




そう、不機嫌さを隠しもせずに私と柴垣くんを交互に睨みつけるのは、竹下さん、その人だった。



フロア内が一気に騒々しくなった。



それもそのはず、噂の三人がこんな形で面と向かっているわけだから。



かくいう私も、竹下さんが何をもってここに来ているのか分からなくて固まってしまっている状態だ。



竹下さんは皆に聞こえるくらいの大きな溜め息をついて私を見据えた。



「……いったいこれは何の騒ぎですか?」



「え……」



「なんの茶番を繰り広げてるんですか?って聞いてるんですけど」



竹下さんは私に大きく一歩近づいて、小首をかしげながらデスクに片手をつく。



その般若のような形相は、とても男性社員に愛想を振りまいていた人物と同一人物には見えない。



「竹下さん……みんな見てる……」



取り繕うのを忘れているのかと一声かけると。



「みんな見てるから来たんですよ!」



手のひらでバンッと私のデスクを叩いて竹下さんは一喝した。



その瞬間、今までの騒めきは嘘だったかのように瞬時に静まり返った。
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