Perverse
そうは言っても宴は始まったばかり。



今日はきっと、これからまだまだ盛り上がるんだろう。



だから今だけこっそりと。



私達は人目を忍んでゆっくりと触れるだけのキスをした。



いくら深くなくても何度も唇を合わせてしまえば、条件反射のように身体は自然に熱くなっていく。



このままではいけないと、ギリギリのところで私達は火照る身体を離した。



「やっぱ帰んねぇかな、アイツら……」



そう言いながら柴垣くんは立ちあがる。



私も同感だと言ったら、あの三人はさぞかし騒ぎ立てることだろう。



「これ、運んでくれる?」



笑いながら柴垣くんに器を渡すと、彼は渋々ながら「わかった」と言って両手に料理の器を持ってリビングに向かっていった。



私は赤くなっているであろう顔をパタパタと手で仰ぎながら、リビングで起きている歓声を聞いて嬉しくなった。



自分の家から持ってきた花柄の可愛らしいトレイに器を置き、私もキッチンを後にしてリビングへと向かうと、料理もお酒も準備万端で私を迎えてくれた。



「いやぁ、この光景ってさ、俺が楠原に恐ろしいほどまでにいたぶられても、折れずに三崎の住所を聞き出したからこそだよなぁ」



上原くんは当然のように柴垣くんの隣に座り並んだ私達を見ながら、しみじみと頷き腕を組む。



「え?どういうことですか?」



前のめりになった沙耶ちゃんに困りながらも、柴垣くんは大きく溜め息をついた。



「陸、お前の口の軽さは国宝級だな……」



柴垣くんがそう言えば、「そんなデカいスケールで褒めるなよ」あっけらかんと笑いながらそう切り返した。
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