Perverse

「誰も褒めてないでしょうが。ほんっとアンタってめでたい男ね」



ばっかじゃないの、と呟きながら、楓は右斜めに座っている上原くんを不機嫌そうに睨んだ。



「まぁまぁ、その辺にして乾杯しましょ。ほら、グラス持って。柴垣さん、お招きありがとうございま~す」



沙耶ちゃんがグラスを上げると、テーブルを囲んだ四方から腕が伸びて『かんぱーい』という声と共にグラスのぶつかるいい音が響いた。



なんだかんだと話し上手な上原くん。



それに対して鋭い突っ込みを入れる楓。



そしてそれをうまくまとめてくれる沙耶ちゃん。



この三人は意外にこの関係性が一番しっくりくるのかもしれな。



なんとなくそんなことを思っていると、話はどんどん『義人の片思いについて』語られていく。



私は一通り柴垣くんから聞いた話ではあったけれど、やはり上原くんから聞くと当時の柴垣くんの心情がリアルにわかって恥ずかしかった。



自分の左斜めに座っている上原くんを止めようと苦戦していた柴垣くんだったけれど、全く止まらないマシンガントークにすっかり戦意を失ってしまったようだ。



「柴垣くんって見かけによらず一途なのね。今では鬱陶しいくらい『結菜大好きオーラ』が出てるもの」



「本当ですね。津田さんが可哀想になっちゃいます」



「義人は津田さんから散々ヤキモキさせられたおかげで三崎ちゃんとこうしてられんだから、感謝だよなぁ」



かなりの量を飲んでいる三人は、結局いつものように柴垣くんの恋の成就をしみじみ語りだす。

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