Perverse
「なるほど」
電柱や掲示板などに貼られた『痴漢注意』の紙を見て、津田さんは納得したかのように呟いた。
「柴垣はコレがあるから三崎さんと一緒に帰るように時間調整してたのかもしれないな」
「え?」
時間調整?
「最近あいつ営業出るのも一番だろ?よほどのことがない限り、三崎さんの時間に合わせてるみたいだったからさ。だから俺、変に勘ぐってあんな挑発するようなこと言ったのかもしれない」
「……」
柴垣くんが時間を調整してくれていたなんて、そんなこと全然知らなかった。
でもそういえば、私が先に帰る以外は必ず柴垣くんと一緒に帰ってた。
それは柴垣くんの言うように『たまたま』ではなくて…。
「そうだったんだ…」
合わせてくれてた…。
優しくない言葉の裏は、やっぱり優しかったんだ。
なんだか胸がいっぱいになって、無性に柴垣くんに会いたくなった。
今、私の隣にいるのが、なぜ柴垣くんじゃないんだろうと、津田さんにとっても失礼な事を思ってしまった。