Perverse

気付けばもうそこはマンションの前。



隣の柴垣くんのマンションが視界に入ると、途端に落ち着かなくなる。



ここに津田さんと二人でいる事はあの部屋の主は知っていることなのに。



なのに何故だか後ろめたく感じてしまう。



「津田さん。もうここで…」



早く一人になりたくなって、少し焦り気味にそう伝えると、津田さんは急に黙って立ち止まってしまった。



「津田さ…」



「三崎さん」



津田さんの硬い口調が私の問いかけに被さる。



それと同時に津田さんの右手が私の左腕を捕らえた。



「津田…さん?」



問いかけるけれど津田さんからの反応はなく、沈黙が私達を包んだ。



物言いたげに私を見つめる津田さんの表情は初めて見る。



……男の顔。



いくら皆の理想の女性を演じていても、本当の私はこの後どうなるか、わからないほど清楚な女じゃない。



表に出さずに内心身構えていると。



「……好きだ」



津田さんは小さく小さく呟いた。

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