Perverse
中西さんの肩や腕、膝が私に触れる。



その事がこんなに嫌だと思ったことなんて今までは一度もなかった。



タクシーなんだし、中西さんの隣には係長も乗っているわけだし、わざと接触させているわけではない。



そんなこと分かっているのに。



柴垣くんじゃなきゃ嫌だ。



自分の気持ちを改めて痛感して、同時に切なくなった。



このタクシーの中に柴垣くんがいない。



さっき福岡店の女子社員2人に両腕を引かれ、両手に花状態で一つ前のタクシーに乗って行ってしまったから。



ときおり信号待ちでタクシーが近づくと、女の子に挟まれている柴垣くんの姿が見えて胸が痛んだ。



移動時間は僅かに10分。



けれどそれは私にとっては何時間にも思えた。



車内で繰り広げられている会話も笑いも、私の中には全然入ってくるとこなく目的地へと辿り着いた。
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