Perverse
「あー…飲みすぎちゃった…」



レストルームの鏡の前で、頬をピンクに染めた自分の顔が若干ぼやけて見える。



ゆらりと身体が揺れると、フワリと中西さんの香りがした。



決して不快な香りではないけれど、それほど近くにいたのかと思うと…。



「…柴垣くん…」



呟いてみたところで彼はこちらに目もくれず、絶えず女の子たちに囲まれている。



こちらはこちらで男性社員が入れ代わり立ち代わりお酌に来てくれ、ボディタッチを気にしながらも笑顔でグラスを開けていた。



これ以上飲みすぎるとヤバイかもしれない。



後でお水をもらおう。



手を洗い冷たくなった手で首筋を冷やすと、縺れる脚を気遣いながらレストルームを後にした。



廊下に出て角を曲がると、私はギクリとして足を止めた。



「待ってた」



そう言って壁に凭れていた背を起こしこちらへとやって来たのは…。



「…どうして…」



「二人っきりになりたかったから」



柴垣くんではなく…中西さんだった。
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