ねぇ先輩、名前をよんで。
『良かった……』
風が吹いていてとても心地いい。
息が詰まりそうな気持ちが少し柔らかくなった。
屋上のフェンスから地面を見つめる。
学校をサボったこと……。
バレたらお母さんに怒られるかな。
クラスの子たちもくすくす笑っているかもしれない。
ああ、嫌だな。
『何もかも、やめちゃいたいな』
そうやって声に出したら、
誰もいなはずの場所から返事が返って来た。
『やめちゃうの?』
そこにいたのは、
とてもキレイな瞳を持つ人だった。
目が合ってすぐにドキンと胸を打つくらいカッコいい人。
上履きの色を見る限りひとつ上の先輩だろう。
『あ、すみません……人がいると思わなくて』
『いいよ、俺も退屈だったから』
彼は地面に腰を下ろすと、隣をポンポンと叩いた。
こっちに来てということだろう。