ねぇ先輩、名前をよんで。
「春、先輩」
私がそうやって呼びかけると、
彼はゆっくり振り返った。
「ゆうちゃん、また走って来たの?」
小さく笑顔を向ける。
その笑顔にきゅんっと心臓は掴まれる。
前までは
表情をほとんど変えなかった先輩。
少しでも笑いかけてくれるだけで、
私の心臓は簡単に動き出す。
私はすぐに先輩の隣に座った。
立花春(たちばなしゅん)先輩。
高校2年生。
色素の薄い茶髪にねこっけの髪が特徴の先輩。
瞳が透き通ったようにキレイで
初めて見た時、人形のようだと思った。
でもね、惹かれたのはそこじゃない。
瞳は人形のようだったけれど、
とても優しい先輩だった。
笑顔がまぶしくて、
太陽のようにキラキラした人で
出会った時はもっと自然に笑う人だった。