冷酷な騎士団長が手放してくれません
度重なる試合のせいで額に汗を滲ませているリアムが、間近でニールを射抜くように睨む。


並外れて整った顔立ちのこの男の、凄んだ表情は特別だ。睨まれただけで、背筋にじわじわと刃が刺さるような衝撃が走る。


だが、ニールは少しも怯まなかった。ズシリと重い剣を構え、漆黒の瞳に炎を漲らせる。


黙って状況を見つめていたリアムが、まるでニールの決意に応えるように、続けて剣を構えた。






――キンッ!!!


青空高く、二つの剣がぶつかり合う音がこだまする。


――キン! キン! キン!


押しつ押されつ剣を交わし合いながら、男達は舞台の上で互いの動きに思考を巡らせる。


剣の切っ先は太陽の光を受けて鋭く輝き、光る汗が緊張と闘志に満ちた空気の中を舞い散っていく。


風圧になびくリアムの黄金色の髪に、動きに合わせて翻るニールの漆黒のマント。


荒々しい息遣い。絡み合う視線。







緊張の張りつめた、長い攻防戦だった。肩で息をしつつも一歩も譲らない二人を、誰もが固唾を飲んで見守っていた。


誰かの緊張も期待も、剣と剣のぶつかり合う冴えた音が、片っ端から吹き飛ばしていく。


――キン!


一際大きな音を響かせ、剣と剣が擦れ合った。


今まで以上の重圧がかかり、これまでの疲労も手伝って、ほんの一瞬ニールはバランスを崩す。


リアムは、ようやく訪れたその機会を逃しはしなかった。


一瞬の隙に先手を取り、ニールの鼻先に切っ先を突き付ける。
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