冷酷な騎士団長が手放してくれません
「では、お願いしていいかしら……?」
「かしこまりました。でしたら、表立って馬車を用意すると城の者が騒ぎますので、用意が出来次厩舎までいらっしゃってください」
「分かったわ。ありがとう、アダム」
アダムは淡々と頭を下げると、それ以上は何も言わずに、部屋をあとにした。
大急ぎで荷造りをしたソフィアは部屋を抜け出すと、侍女たちに見つからないように、回廊を駆け抜けた。
途中、騎士団の館が目に入る。
一瞬、リアムにも知らせようと思い立った。だが、ソフィアはすぐにその想いを呑み込む。
リアムとは主従関係を断ち切ると、心に決めたのだ。今までのようにすぐに頼っていては、一生この関係から抜け出すことは出来ない。
それに自分の本当の想いに気づきつつある今は、リアムにどう接したらよいのか分からなくなっていた。会えば、閉じ込めたはずの想いが溢れ出しそうで怖いのだ。
ソフィアは、騎士団の館の門扉から視線を逸らす。
そして、絶え間なく雨音の鳴り響く回廊を抜け、城の外を目指した。
「かしこまりました。でしたら、表立って馬車を用意すると城の者が騒ぎますので、用意が出来次厩舎までいらっしゃってください」
「分かったわ。ありがとう、アダム」
アダムは淡々と頭を下げると、それ以上は何も言わずに、部屋をあとにした。
大急ぎで荷造りをしたソフィアは部屋を抜け出すと、侍女たちに見つからないように、回廊を駆け抜けた。
途中、騎士団の館が目に入る。
一瞬、リアムにも知らせようと思い立った。だが、ソフィアはすぐにその想いを呑み込む。
リアムとは主従関係を断ち切ると、心に決めたのだ。今までのようにすぐに頼っていては、一生この関係から抜け出すことは出来ない。
それに自分の本当の想いに気づきつつある今は、リアムにどう接したらよいのか分からなくなっていた。会えば、閉じ込めたはずの想いが溢れ出しそうで怖いのだ。
ソフィアは、騎士団の館の門扉から視線を逸らす。
そして、絶え間なく雨音の鳴り響く回廊を抜け、城の外を目指した。